ガーデン ご紹介

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ティンティンハル・ガーデンズ   Tintinhull Gardens
               2012年6月6日 訪問  水色枠の写真はクリックすると拡大写真になります。

Tintinhull

”オードリー・ヘップバーンが愛した庭”と謳われては弱い。だが、3度目の訪問となるティンティンハル・ガーデンズは酷い土砂降りの中だ。 車内でやり過ごすこと10分、小降りとなってきた。
このガーデンは17世紀の地元の石"Ham Hill stone"を使って建てられたマナーハウスをフィリス・ライス(Phyllis Reiss)夫人と 夫のキャプテン・ライス(Captain Reiss)が1933年に購入し、ヒドコート・マナーのアウトドア・ルーム方式で造成したのだ。
フィリスは”自分自身の喜びのためにだけでなく訪問客のために”ガーデンを造ったといわれ、1954年にナショナル・トラスト(NT)に寄贈してからも 1961年になくなるまでここでガーデンの世話をし続けたのだ。 ハウスの西テラスから西に向かってレンガや生垣で区分された3つのルームがあり、その北側に同じく3つのルームが造られ、 それぞれ異なる趣向のデザインがなされている。テラスの北側のドア(写真右)から"Cedar Court"に入る。

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3面を1720年に積まれたという赤レンガの壁で囲われ、隣のルームとは生垣で仕切られている。通路や芝は水溜りがそこかしこだ。
東側の壁沿いのボーダーに平行に作られたアリウムとアヤメとアイリスのベッドが記憶を呼び起こす(写真上左)。そういえば2度目の5年前も雨だった。 ボーダーは後ろの壁にローズとセアノサス、ベッドに木バラ、ジギタリス、アルケミラモリスなどが見られる(写真上左から2枚)。色調はパステルカラーだ。
西側の生垣に沿ったボーダーは赤を基調にした植え込みだ。シュラブやセダムの銅葉色もアクセントとなる(写真上右から2枚)。
北の壁沿いのボーダーもウツギなどのシュラブやバラなど背丈のある植栽にリクニスやゲラニウム(フウロウソウ) などの宿根草がバランスよく植栽されている(写真上右)。そんな中に日時計が隠されていた。地球の上に船が載っているデザインだ(写真右)。 一つ気になるのは南の壁際に大きな針葉樹(Cedar)が2本立っていることだ。壁は北に面するからボーダーに適さないまでも、 こんな大木が南側にあったら、日当たりを妨げることになると心配してしまう。

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プール・ガーデン(Pool Garden)に遣ってきた。前2回で最も印象に残っているルームだ。4m×20mほどの小さなプールだが緑の芝の中、存在感がある(写真上中2枚)。 プールの4隅に黄菖蒲が、水面には睡蓮が浮かぶ。睡蓮が茂り過ぎないようコントロールされているから爽やかに感じるのだろう。
サマーハウス(Summerhouse)も可愛いものだ。右側からは蔦がクライミングし、後ろの壁にはピンクの蔓バラの大輪が鈴生りだ(写真上左)。 そして、右側からは真っ赤な大輪の蔓バラが絡まっている(写真上右)。
4隅の大きな寄せ植えのコンテナやサマーハウスの中のホスタのコンテナなども良く管理されている。
サマーハウスから見て左側(東)はブルーを基調にしたパステルボーダー(写真下左、右)、右側(西)はレッドとオレンジを中心にしたホットボーダー(写真下右)だ。 この構成はCedar Courtと同じだ。一貫性がある。
このプールガーデンは元はテニスコートだったが、1942年に第二次大戦で戦死した英国海軍航空隊戦闘機パイロットの甥を偲び、 戦勝を祝って1947年に改造したものだ。サマーハウスにそのプレートが誇らしげに掲げられている。

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プール・ガーデンの西がキッチン・ガーデン(Kitchen Garden)だ。このガーデンの作物はこの後訪れるモンタキュート・ハウス(Montacute House)のレストランで 使われている現役なのだ。しかし、収穫量を優先させるファームではなく、あくまでもガーデンなのだ。 今、最も目を奪うのはキャットミントのボーダーだ(写真上左から2枚目)。支柱が余りに整然としていることと竹であることがちょっと気に入らない。
キャットミントのボーダーとクロスする通路には同じ薄いピンクのナデシコとバラのボーダーだ(写真右)。
野菜の紹介が最後になったが写真上右から2枚目がそれだ。まだ収穫には少し早いようだ。 ルバーブ、ハーブ、ベリー類なども植えられている。更に西側には果樹園が広がっている。
面白い話がある。ライス夫人は生涯の間、訪問客は家庭菜園に入ることを許さなかったという。"For eating not looking at"ということらしい。 キッチン・ガーデンとかポタジェの概念はすでにあった時代だと思うが、夫人の哲学だろう。
スケールの大きなキッチン・ガーデンだ。キャットミントの通路を南に進むと"Fountain Garden"に入る。

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噴水といっても極めてシンプルなものだ。直径3mほどの小さな池の中央から一筋の水が噴き上がるだけだ。今日は特に水圧が低いようだ。 周囲は生垣で囲まれ植栽はホワイト一色のはずだが、今年は生育が遅れているようで寂しい(写真上左)。
Fountain Gardenの西側にイチイの生垣で囲まれた隠れ家のような小さなルームがある。そして、南面の生垣の切れ目の壁にバード・バスがある(写真上左から2枚目)。 ホワイトガーデンの中で黒龍? が一際目立つ。

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生垣の東面の切れ目から出て、階段を数段上がると"Middle Garden"へと進む。通路脇に8つのイチイのトピアリーが並び、 芝生が広がり壁際に潅木や宿根草が植えられている(写真上右から2枚目)。再び雨が降ってきて、ゆっくり見て回ることもできない。 イーグルの像が載ったオリジナルの門柱(写真上右)で振り返ったMiddle Gardenが右の写真だ。見事なトピアリーだ。
門柱を抜けてイーグル ・コート(Eagle Court)に入る。イーグル ・コートも同じデザインで8つのトピアリーがある(写真下左)。壁際の見事な植栽はバラ、 ボタン、ユーフォルビア、アイリス、ディコンドラ、ヒューケラなどなどだ(写真下左から2枚目)。 バラに見られるように(写真下右から2枚目)色彩が抑え目で上品な感じだ。
イーグル ・コートと一体化したテラスと玄関ポーチ(写真下右)も雨に濡れている。いつもは開いているドアーも雨が吹き込むので閉められている。 逆に階段のコンテナのロベリアは水をもらって生気がある。黒法師も雨に濡れ黒々と光っている。
1.5エーカーの小さなガーデンだが、このガーデンでは”調和”と”一貫性”の重要性を感じる。"Gardener's Paradise"と称されるのが頷ける。
フィリス夫人は"'My garden is, I think and hope, a happy one."と言ったという。私も陽だまりに関し同感だ。

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Information
 Address  Farm Street, Tintinhull, Yeovil, BA22 8PZ
 Telephone  01935 823289
 Web Site  Tintinhull Gardens

オープンの日・時間や入場料は Web Site あるいは Gardens Finder
Gardens Guideで確認ください。

「旅行記」もご覧ください。

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